二人乗り

自転車はぐんぐんと走る。
二人は同じ時間と同じスピード、同じ振動を感じている。

決して運転している僕が顔を合わせることはない。
それでも話をする事は辞めない。
駅まで着けばそれが別れになるからだ。

事の発端は、文化祭帰りに2人で出掛けた事だった。
駅から離れたその店から、帰りが大変だろうと心配した僕は数年ぶりに2人乗りをした。

やっぱり、一人とは違い、運転が非常に辛い。
なにより、後ろを見ることが出来ないのだから、
自分の安全だけを考えることなんて出来ない。常に気を配る…

そして何より、そんな時間を共に過ごした人と離れるのが辛いから

そんなことを紛らわせるために、僕は2人で喋っていたのかもしれないね。


けど2人乗りしてる時の会話って、ネット社会の人間関係に似てると思う。
だって、互いの顔が見えずに同じ時間を共有してるんだから。
ちょっと口が過ぎれば、喧嘩になってしまうなんて容易に想像がつく。

ただ一つの救いは、こっちは運転に集中してる分まずくなる前に運転キツイとか言えば良いってところかな…（笑）